ナスの深い紫色って綺麗ですよね~。
そして、色々なお料理が楽しめる食材です。
そんなナスのこと、調べてみました。
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ナス科ナス属。
旬 7月~9月。一年草。
■原産地
インド。インドから5世紀頃中国へ伝わり、13世紀頃ヨーロッパに伝わった。
日本へは7~8世紀頃だといわれている。
■成分と効能
・ビタミンK
ビタミンKは天然のものでは2種類ある。
ビタミンK1(フィロキノン)は葉緑体で作られるので、緑黄色野菜、植物油
海藻類に多く含まれる。
ビタミンK2(メナキノン)は微生物や腸内細菌で作られるので、納豆、チーズなどの乳製品
肉類に含まれる。
その他ビタミンK3(メナジオン)は合成型で副作用が強いため、人には使われていない。
家畜の飼料として使用。
①血液凝固
血液が止まるのは「一次止血」と「二次止血」という仕組みによって行われる。
「一次止血」は血管壁が損傷すると、血管が収縮して損傷部分を小さくする。
そして、損傷した血管内皮細胞からVWF(フォン・ウィルランド因子)が分泌され
血小板はVWFと結合して集まり、血栓を作り傷を塞ぐ。
しかしこのままでは不安定なため、「二次止血」が起こる。
「二次止血」は「一次止血」で出来た血小板をフィブリンの網で被い固めて
フィブリン血栓を作り、止血する。
この「二次止血」は多くの因子が関わり、段階を経てなされる。
血液凝固の二次止血には12種類の凝固因子(タンパク質)と、カルシウムイオンと
リン脂質(血小板膜)が関与している。
12種類の血液凝固因子のうち、Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ(2,7,9,10)の4つはグルタミン酸残基を
含み、ビタミンKによりGla化され、生理活性するようになる。
Gla(γ―カルボキシグルタミン酸)は血液凝固の促進と抑制に関与する。
グルタミン酸残基(Glu:アミノ酸の一種)はγ-カルボキシラーゼ(酵素)に
カルボキシル化され、γ-カルボキシグルタミン酸(Gla)を合成する。
ビタミンKはこの反応の補酵素として働く。
血液凝固因子はお互いに関わっていくことで、血液凝固は進んでいくが
この過程を「血液凝固カスケード」という。
これには、内因性経路(血管内の損傷で始まる)と
外因性経路(破壊された組織から接触されることで始まる)がある。
内因性経路は血管内皮細胞下のコラーゲンに接触すると、第Ⅻ因子を活性化し
第Ⅻ因子が第Ⅺ因子を活性化し、活性化第Ⅺ因子は血小板膜のリン脂質とカルシウムイオンと
結合して、複合体を作り第Ⅹ因子を活性化する。
活性化された第Ⅹ因子はビタミンKによって活性化されたプロトロンビンをトロンビンにする。
トロンビンはフィブリノゲンに作用してフィブリンに変換し
このフィブリンによって血液凝固反応(フィブリン網形成)が起こる。
外因性経路は第Ⅲ因子(組織因子)がビタミンKによって活性化された第Ⅶ因子と
カルシウムイオンと血小板膜のリン脂質で複合体を作る。
この複合体は第Ⅹ因子を活性化して、その後、内因性経路と同じようにフィブリン網を作る。
血管内で血液凝固が永遠に進行しないために、抑制する作用が働く。
抗凝固因子のプロテインCとプロテインSは肝臓で合成され、合成にはビタミンKが必要である。
プロテインCもプロテインSもビタミンKによりGla化させるタンパク質で
活性化すると、協力して血液凝固因子の活性型第Ⅷ因子と第Ⅴ因子を不活性化して
血液凝固反応を遅らせる。
②骨代謝
骨は絶えず、破骨細胞により古くなった骨組織を壊し(骨吸収)
骨芽細胞によって新しい骨組織を作っている(骨形成)。
これを骨のリモデリング(再構築)という。
骨芽細胞で産生されるオステオカルシンはカルシウム結合タンパク質で
ビタミンKにより活性化され、骨形成に必要である。
オステオカルシン内のグルタミン酸残基(Glu)がカルボキシラーゼにより
γ-カルボキシグルタミン酸残基(Gla)に変換されると活性型オステオカルシンとなり
この活性型のみがカルシウムを骨に貯蓄できる。
ビタミンKが不足すると、グルタミン酸残基(Glu)がγ-カルボキシグルタミン酸残基(Gla)に
変換されないため、骨基質に取り込まれず血中に放出される。
そのため、骨代謝マーカーとして利用される。
オステオカルシンは骨の石灰化や骨にカルシウムを貯蔵するのに必要なタンパク質で
ビタミンKはオステオカルシンを活性化させることで、骨形成の促進に関わっている。
また、ビタミンKは骨吸収を抑制する働きもする。
造血幹細胞から破骨細胞への分化を抑さえ、破骨細胞の供給を減らすことで
骨吸収の抑制している。
・カリウム
細胞内の余分なナトリウムと水分を排出する。
そしてナトリウムが腎臓で再吸収されるのを防ぎ、尿としての排出を促す。
このように、カリウムはナトリウムによる血圧上昇を抑える作用があり
高血圧を予防し、手足の浮腫みを解消する。
日本人は、塩分としてナトリウムを摂りすぎるので、カリウム摂取を心掛けるとよい。
特にこの時期、大量に汗をかくとカリウムが汗と一緒に排出されてしまう。
カリウムが不足すると筋肉の痙攣や低カリウム血症が起こり
疲れやすく、夏バテの原因になるので注意。
・カルシウム
体内のカルシウムのうち99%は骨や歯の中に蓄えられ、これを「貯蔵カルシウム」という。
残りの1%は、血液や体液中に「機能カルシウム」として存在している。
機能カルシウムは生命維持に重要な役割を果たしている。
そのため骨に蓄え、不足した時は溶かして利用している。
①骨や歯を作る
カルシウムは胃酸によりイオン化されたり、炭酸やクエン酸のキレート作用で
小腸上部の十二指腸で能動輸送により吸収される。
能動輸送とはATPを利用し、濃度勾配に逆らって物質を輸送すること。
これには、活性型ビタミンDが必要。
しかし、ここでは一定の量しか吸収することができず
多くは小腸下部の空腸、回腸で受動輸送により吸収される。
受動輸送とは膜の内外で生じる濃度勾配に逆らわず
ATPを利用しないで物質を輸送すること。
空腸や回腸ではph値が上がり、カルシウムイオンはイオンの状態が保てなくなり
リンと結合しやすく、リン酸カルシウムとなってしまう。
リン酸カルシウムは水に溶けにくく、吸収されにくい。
カルシウムは一度に大量に摂取するよりも、毎回の食事で摂取するほうが吸収されやすい。
小腸で吸収されたカルシウムは血液の中を流れ
99%がハイドロキシアパタイト(骨塩)となり、骨に貯蔵されている。
骨は常に作り変えられ、破壊と再構成を繰り返している。
破骨細胞は骨を溶かし(骨吸収)、骨芽細胞は骨形成をする。
②血液のph値を一定に保つ
血液中にカルシウムイオンが一定量あることで、血液は弱アルカリ性(ph7.4)に保たれている。
血中カルシウムイオンが減少すると、副甲状腺にあるカルシウム受容体が感知して
副甲状腺ホルモン(PTH)を分泌させ、破骨細胞を活性化し骨吸収を促進させる。
すると、骨からカルシウムが溶け出し、血中カルシウム濃度が上がる。
血中カルシウム濃度が上がれば、カルシウム受容体はこれを感知し
副甲状腺ホルモンの分泌を抑制する。
血中カルシウム濃度が上昇しすぎると、甲状腺からカルシトニンが分泌され
破骨細胞に働きかけ、骨吸収を抑制する。
すると、骨からカルシウムが溶け出すのを抑えられる。
こうして血液は弱アルカリ性に保たれており、これを酸塩基平衡という。
「カルシウムパラドックス」
カルシウムが血液中で一定量に保たれることは、生命維持をすることである。
そのためカルシウムの摂取量が不足すると、骨からカルシウムがどんどん溶け出し
血中カルシウム濃度が上昇する。
すると骨粗鬆症になり、血液中に増えたカルシウムが沈着し動脈硬化を引き起こし、高血圧になる。
血中のカルシウムは細胞に運ばれ、細胞ではカルシウムチャンネルがホルモンにより
開いたままになり、細胞内にカルシウムがどんどん入り込んでしまう。
膵臓に入り込むと、インスリンが分泌されなくなり糖尿病になる。
脳に入り込むと、脳細胞が障害され認知症、アルツハイマー病などが起こる。
腎臓では結石ができ、腎臓結石となる。
このように生活習慣病といわれる病気を引き起こす。
カルシウム摂取量が足りないのに、細胞内はカルシウムが増え過ぎてしまうという逆説が起こる。
これをカルシウムパラドックスという。
③神経伝達に関与
情報は神経細胞(ニューロン)が次の神経細胞に電気的な信号を送ることで伝わるが
神経細胞間にはシナプス間隙という隙間があり、電気的信号はこの間を流れることが出来ない。
そのため神経伝達物質という化学物質により、情報を伝達している。
情報が神経細胞の末端のシナプスまで伝わると
神経細胞膜上のカルシウムチャンネルが活性化され開く。
そこへカルシウムイオンが流入し、神経細胞内の電位がプラスに上昇すると
電気的な活動が起こり、シナプス小胞が膜に移動し脱分極して
神経伝達物質をシナプス間隙に放出する。
放出された神経伝達物質は次の神経細胞の受容体に結合し
神経細胞膜上のナトリウムチャンネルが開く。
ナトリウムが流入すると、電位が生じ情報が伝わる。
カルシウムは神経伝達物質を放出するために、重要な役割をしている。
④筋肉の収縮
骨格筋や心筋は横紋筋という筋肉で構成されている。内臓は平滑筋である。
横紋筋の筋細胞(筋繊維)は筋原線維という細長い円錐形をした細胞が集まってできている。
筋原線維は細いフィラメントのアクチンと太いフィラメントのミオシンというタンパク質が
規則正しく交互に並んで構成されている。
筋肉の収縮はミオシン(太いフィラメント)の間にアクチン(細いフィラメント)が
滑り込むことで起こる。
筋原線維は筋小胞体という膜に囲まれていて
その上にT管という筋細胞(筋繊維)の細胞膜が細くなったものが取り巻いている。
骨格筋でいうと脳からの収縮命令を運動神経が伝えると
運動神経の末端でシナプスと構造により神経伝達物質のアセチルコリンが放出される。
アセチルコリンの働きでT管に活動電位(インパルス)が伝わると
筋小胞体に貯槽されたカルシウムイオンが放出される。
カルシウムイオンはアクチン上のトロポニンと結合して、その構造を変化させると
同じアクチン上のトロポミオシンはアクチンから離れる。
トロポニンとトロポミオシンは筋肉の収縮を阻害するので、
これによってアクチンフィラメントにミオシン頭部が結合できる。
ミオシン頭部はATPを分解し、そのエネルギーでアクチンに結合したぐり寄せる。
そして筋肉は収縮する。
このように、カルシウムイオンの濃度は筋収縮に重要な役割を果たしている。
⑤血液凝固
通常、血液は凝固しないが、血管外に出た血液が自然に固まる現象を血液凝固という。
血管が損傷すると血小板が集まり、損傷部位に粘着し、血小板血栓を作ることで止血をする。
これを「一次止血」という。
一次止血で作られた血小板血栓をより強固なものにするため
血液凝固因子を活性化させ、フィブリンの網を作りフィブリン血栓を作ることで止血をする。
これを「二次止血」という。
血管が修復されると、フィブリン網は線溶系で分解される。
a. 一次止血
血管内皮細胞が損傷すると、細胞下組織のコラーゲンが露出し
そこにvon Willebrand因子(vWF)が結合する。
血小板はvWFに粘着し、コラーゲン受容体がコラーゲンを認識すると活性化する。
また、vWFに結合した血小板は、血流の流される力で形を歪まされるが
この「ずり応力」も血小板を刺激し活性化させる。
粘着した血小板は表面にしわをよせ偽足という突起をだし形態を変える。
この偽足は長い足のような形をして、周りの血小板とより強く粘着できるようになる。
活性化した血小板は形を変え、血小板内の顆粒を放出する。
脱顆粒により、周囲の血小板も二次的に活性化し、より強く粘着し血栓を作る。
血小板が活性化し脱顆粒するにはカルシウムチャンネルからのカルシウムイオンの流入が必要である。
b. 二次止血
一次止血の血小板凝集は不安定のため、これにフィブリン網を被せることで
フィブリン血栓を作り、止血を強化する。
血液凝固には血液凝固因子(第I~XIII)とリン脂質(細胞膜)とカルシウムイオンが関わる。
[内因系]
血管内の凝固因子だけで行われる。進行がゆっくりである。
血管内皮細胞が傷ついたことにより、血液がコラーゲンに接触すると
第XII因子を活性化し、次々と凝固因子を活性化しカスケード型反応がはじまる。
そして、活性化したIX因子はカルシウムイオン(第IV因子)と第VIII因子と
血管細胞膜のリン脂質と複合体を作り、第X因子を活性化させる。
活性化された第X因子はプロトロンビンをトロンビンにする。
トロンビンはフィブリノゲンを分解し、フィブリン(線維素)を作る。
フィブリンは網を作り、血小板の上に結合する。
[外因系]
破壊された組織成分からはじまる凝固。進行が速く、内因性より重要な凝固である。
外傷などにより、損傷した組織から組織因子(tissue factor:Tf 第III因子)が放出されると
第VII因子を活性化し、活性化した第VII因子とカルシウムイオン(第IV因子)と
血小板膜のリン脂質と複合体を作り、第X因子を活性化させる。
ここから先は、内因系と同じ反応。
カルシウムは血液凝固因子として関与する。
・食物繊維
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類がある。
①水溶性食物繊維
植物の細胞の中の分泌物や貯蔵物質に含まれる。
水に溶けるとゲル状になり、糖の吸収を遅らせ、急激な血糖値の上昇を防ぐ。
腸内細菌による発酵で腸内が酸性化し、酸性環境は悪玉菌を抑える。
また、善玉菌のエサにもなるので、腸内環境を整える。
種類
ペクチン・・・熟した果物、野菜に多い。
グルコマンナン・・・こんにゃく。
アルギン酸、フコイダン・・・海藻類。
グアーガム・・・豆科の植物。
②不溶性食物繊維
植物の細胞壁を構成している成分で、水に溶けない。
腸管内で水分を吸収して膨れるため量が増え、腸壁を刺激し蠕動運動が盛んになる。
このため、便の排泄を促し、腸内の老廃物を排出する。
種類
セルロース・・・穀類、野菜、豆類、林檎、梨、ナッツ類に多い。
ヘミセルロース・・・海藻類、シリアル、無精製の穀類。
ペクチン・・・未熟な果物、野菜。
リグニン・・・ココア、豆類。
グルカン・・・キノコ類。
アガロース・・・紅藻類(テングサ、オゴノリ)寒天の主成分。
キチン・・・エビ、カニの殻。
・アントシアニン
ポリフェノールのフラボノイド系に属する色素。
野菜、果物、花の赤、青、紫はアントシアニン色素によるもの。
①目の疲れを回復する
光は角膜から水晶体を通り網膜に像を結ぶ。
網膜にある視細胞が光の刺激を受けると、脳に電気信号を送り物が見えるようになる。
網膜の視細胞には「桿体細胞」と「錐体細胞」の2種類がある。
桿体細胞は暗い光でも感知できるが、色は識別できない。
錐体細胞は明るい光しか感知できないが、色を識別できる。
桿体細胞にはロドプシンという視物質があり、これに光が当たると分解され
構造が変わることで刺激となる。
この刺激が電気信号として視神経から脳へ伝わり、物が見えるようになる。
ロドプシンはオプシン(タンパク質)とレチナール(ビタミンA)が結合してできており
光が当たると、この結合が切れ分解される。
しかし、すぐまた結合し再合成されるため、物が見える。
長時間目を酷使したり、明るい所から暗い所へ行ったときに
目が見えにくくなるのは、ロドプシンの再合成が間に合わないため。
アントシアニンはロドプシンの再合成を促進する働きがある。
このため、目にいいといわれている。
②抗酸化作用
ポリフェノールは植物が持つ生体防御のための物質で、5000種類以上もある。
カテキン、ルチン、イソフラボンなどがあり総称してポリフェノールという。
植物が害虫や紫外線などから自分の身を守るために持っている成分で
人間が摂取しても、体内で抗酸化物質として働く。
抗酸化物質はビタミンCやビタミンEがあるが、それぞれに除去できるものが決まっている。
ビタミンCは水溶性で、血中や細胞基質の水溶性の部分で活性酸素を除去する。
ビタミンEは脂溶性のため、細胞膜での過酸化脂質反応や
血中LDLコレステロールの酸化を防いでいる。
しかし、アントシアニンは水溶性でも脂溶性でも両方で働けるのため、強い抗酸化力を持つ。
・ナスニン
ナスニンはナスに含まれるポリフェノールで
ナスの紫色はアントシアニン色素の一種である。
ナスのポリフェノールは皮の部分に多く、皮は剥かずに食べるほうがよい。
ナスには諺も多く、初夢でも『 一富士 二鷹 三なすび 』を見ると縁起がいい
なんていわれてますよね。
抗酸化力も優れていて、夏に紫外線で受けた細胞のダメージを修復してくれる
素敵な食材です。
健康な肉体は、やっぱり食ですよね。
しかし・・・
あれも、これもと色々摂りすぎて、肥えてしまう可能性が・・・
これは、私の場合です。
皆さんは、適量の摂取で健康維持して下さいね。
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