筋筋膜性疼痛症候群は、骨格筋が持続的に
傷つけられることで発症する
痛みやしびれ、関節可動域の制限、自律神経症状などです。
ある程度好発する部位はありますが
骨格筋ならどこでも起こりえます。
ここでは、肩の前面・後面から
指先までの痛みやしびれについて記述します。
○広範囲に影響を及ぼす筋肉
斜角筋という首の筋肉に
トリガーポイントと呼ばれる圧痛点ができてしまうと
広範囲に色々な症状が現れます。

前斜角筋・中斜角筋・後斜角筋があります。
身体の前側は鎖骨の下、胸や肩から指先(親指)まで。
後面は肩甲骨の内側から二の腕
手の甲(親指、人差し指、中指)とかなり広いです。

鎖骨の下の胸や、肩、腕の外側から親指まで


肩甲骨の内側、二の腕、手の甲

上記のような痛みが現れる部位の他に
朝の手の甲の硬さやこわばり
しっかり握れないので物を落としたり
手のむくみなどを引き起こすことがあります。
そして、胸部での痛みは狭心症と間違われたりします。
首の筋肉なのですが、首の痛みを感じられることは
ほぼないので、見落とされがちです。
斜角筋は筋筋膜性の症状を引き起こす他にも
胸郭出口症候群という神経・血管の圧迫を引き起こす筋肉でもあります。
○斜角筋による筋筋膜性疼痛症候群の施術
斜角筋を傷めてしまうのは、首を傾けて長時間いることや
枕の当て方が悪かったり、喘息などの激しい咳や
重い物などを強く引っ張ったり、持ち上げたり
した場合などに起因しています。
このようなことで、思い当たることがあれば
気を付けていただくのが1つです。
そして、筋筋膜性疼痛症候群の最大の特徴である
トリガーポイントが活動的になっていて
痛みを放散していれば、除去します。
斜角筋に痛みがある部分を施術で取り除いていきます。
斜角筋自体だけではなく、斜角筋を傷めないようにする
ための施術も行っていきます。
例えば、姿勢。
体の傾きで頭が傾いてしまいますと
首の筋肉に負担がかかりますので、よくありません。
他にも、斜角筋は呼吸筋でもありますので
呼吸がうまく行えていないと過剰に働くことになります。
呼吸は横隔膜や肋骨に付いている筋肉が働くことで
肺を膨らませています。
肺自体は膨らむ機能はなく、胸郭内が陰圧になることで
広げさせられているような感じです。
ですから、横隔膜や呼吸筋の働きが悪いと
呼吸は小さく浅くなります。
すると酸素を取り込むために、自律神経系が働き
呼吸筋は過剰に働かされることになります。
自律神経系ですから、無意識なのですが
呼吸は、意識的にもコントロールできます。
安静時の呼吸を楽にするためには
横隔膜や胸の筋肉、肋骨の筋肉
あるいは背中側の筋肉なども施術します。
あんまり関係ないようなところも
施術するのはそのためでもあります。
それぞれに違ったパターンをお持ちですので
斜角筋が筋筋膜性疼痛症候群と胸郭出口症候群を
併発していることも考えられます。
あるいは、斜角筋と同じような働きをする
首の筋肉も連鎖して、傷めていることもあります。
しびれは、施術してもすぐには身体が反応せず
しばらく時間がかかる症状でもあります。
不安になることで身体も緊張し、筋肉も緊張しますので
斜角筋の特徴を知っていただき
少しでも楽になっていただければ幸いであります。