歌うことは、呼吸と深く関わっており、呼吸は自律神経の働きと関わっています。
■神経系とは
神経系には、中枢神経と末梢神経があります。
中枢神経は脳と脊髄に分けられ、末梢神経は体性神経と自律神経に分けることができます。
【中枢神経】
大脳、間脳、中脳、小脳、橋、延髄と脊髄から構成されています。
【末梢神経】
脳と脊髄(中枢神経)から出て枝分かれし、体の各部分に広がる、中枢神経以外の神経をいいます。
末梢神経は、脳から枝分かれする脳神経(左右12対)と脊髄から枝分かれする脊髄神経
(左右31対)というふうにも分けられます。
・体性神経
意識的に体を動かす神経で運動神経と知覚神経(感覚神経)があります。
運動神経は骨格筋を動かす情報を、脳から末端に向かって送信するので、遠心性の神経経路であり
知覚神経(感覚神経)は温度や感触など体で感じた情報を、末端から脳に向かって送るので
求心性の神経経路です。
・自律神経
無意識でも働いている内臓などは平滑筋であり(心臓は心筋)、平滑筋を動かすのが自律神経です。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、お互いに逆の働きをし、均衡を保っています。
自律神経は遠心性経路と求心性経路の2種類があります。
視床下部により支配され、生体の恒常性維持(外部の変化を受けても、生体内部は
一定の安定した状態を保とうとするシステムで、ホメオスタシスともいう)に関与しています。
■交感神経と副交感神経
交感神経は体に活発な動きをさせるために働く神経で、「闘争か逃走か反応」と関わっています。
交感神経終末から放出されるノルアドレナリンという神経伝達物質は、各器官にある受容体と結合します。
作用すると ・心拍数を増加させる
・心筋の収縮力を上げる
・血管収縮による血圧上昇
・瞳孔の拡大
・気管支拡張により呼吸回数の上昇
・消化器系の平滑筋の活動が抑制される
・血管収縮による末端の冷え
副交感神経は体を休める時に働く神経で、交感神経とは逆の働きをします。
副交感神経終末から放出されるアセチルコリンという神経伝達物質は、各器官にある受容体と結合します。
作用すると ・心拍数を低下させる
・腸管の平滑筋を収縮させ蠕動運動を促進させる
・胃液分泌 脳相(食べ物を見たり想像したり、食べ物が口腔内に入ると
大脳から延髄の胃液分泌中枢に伝達され、迷走神経を刺激して胃壁に作用する)
■心拍変動と自律神経
心臓の鼓動は安静時でも一定ではなく、拍動から拍動までの間隔は常に変動し、揺らいでいます。
この揺らぎを「心拍変動」といい、自律神経と関係しています。
心臓は神経の支配を受けずに、自力で収縮することができますが
心拍リズムを発動させ、電気信号を心筋に送り収縮させる洞房結節に
自律神経が分布しているので、心臓は自律神経の支配を受けます。
そして、交感神経と副交感神経では神経伝達物質が異なり、信号として伝わる過程も違います。
交感神経が放出するノルアドレナリンは洞房結節でβ受容体が受け取り、化学反応が起きて心拍数を上昇させます。
また、副交感神経が放出するアセチルコリンは洞房結節でムスカリン受容体が受け取り
化学反応が起きて心拍数を低下させます。
この両者の化学反応が起こるのに、時間の差があります。
交感神経よりも副交感神経のほうが短い時間で、反応が起こります。
心臓の拍動は自律神経に支配を受けますが、この自律神経に信号を送るのは、中枢神経です。
中枢神経は、肺の伸展受容器と動脈の動脈圧受容体からの情報を感覚神経より受け取り
自律神経を介して心臓の拍動をコントロールしています。
肺の伸展受容器は呼吸変動を、動脈圧受容体は血圧変動を、伝達しますが
呼吸変動の速度は速く、交感神経はこの速さに対応することが出来ません。
ですから、交感神経は血圧変動の影響は受けますが、呼吸変動を反映することは出来ません。
これに対して、副交感神経は血圧変動と呼吸変動による情報を反映することが出来ます。
以上のことから、呼吸により副交感神経を介してある程度は
心拍数をコントロールすることが出来るということです。
呼吸は自律神経とも密接な繋がりがあるのです。
呼吸、すなわち大きく呼吸をする「歌うこと」は
自律神経の乱れを整える、1つの方法であると思います。
カレンダー
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
« 3月 | ||||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
27 | 28 | 29 | 30 |