前回までは、温熱の血管への影響でしたが
今回は、神経・筋の反応についてです。
◆神経・筋の反応
末梢神経の伝導速度は、温度が上がると速くなります。
神経線維には、伝導速度の速いものから遅いもの、
線維が太いものから細いものと分類されています。
温度変化の影響を受けやすいのは
伝導速度が遅いものよりも速いもの、
太いものよりも細いものになります。
伝導速度が速く、線維の細いものが影響されやすく
痛みを伝えるAδ線維という神経線維は、
影響を受けやすくなっています。
Aδ線維は、体が傷害を受けたとき、
最初に感じる『痛いっ!』という
鋭い痛みを伝える神経で、これを一次痛といいます。
持続しないのが特徴です。
その後に感じる「鈍痛」は二次痛といい
これはC線維という別の神経線維が伝える痛みです。
こちらは持続するのが特徴です。
急性期の痛みは、温めるとAδ線維の伝導速度が速くなり
痛みの憎悪につながる可能性があります。
冷やして、Aδ線維の伝導速度を遅くすると
痛みが緩和するので、急性期は冷やすことが推奨されます。
筋温を42℃まで上げると、筋は弛緩します。
筋肉には、伸ばされてることを伝える神経線維が2種類あり、
1つは、筋の長さと筋の変化を伝える太い神経でⅠa線維といいます。
もう1つは、筋の長さを伝える細い線維でⅡ線維といいます。
Ⅰa線維は、筋が引き伸ばされている過程で活動が増大し
Ⅱ線維は、伸ばされた筋がそれを持続しているときに活動します。
Ⅰa線維やⅡ線維は感覚神経ですが、
筋肉には運動神経もあり、これも2種類あります。
1つは、脳からの命令で筋肉を収縮させる太い神経線維でα運動神経といいます。
もう1つは、筋線維の中にある受容器(筋紡錘)にくっついていて
この受容器(筋紡錘)の感度を調節する細い神経線維でγ運動線維といいます。
筋温が上がって筋が弛緩するのは、
神経線維の細いⅡ線維やγ運動神経の活動が低下するためです。
「持続的に伸ばされているよー」
という情報が脳に伝えられなくなり
「伸ばされてないから、収縮させる必要なし」
と脳は判断し
筋肉を収縮させる神経α運動神経の活動を
低下させます。
神経系は非常に難しく、かなり端折った説明で
かえって分かりにくくなってしまったかもしれません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この続きは、また。
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