3日前に口唇ヘルペスで唇に水疱ができ、顔に痛みがあるという方がいらした。 皮膚科で薬をもらい、水疱はだいぶよいとのことだが、顔の痛みがある。 ずっと痛いわけではないが、時折ズキッと痛む。 痛む場所は、口唇ヘルペスと同じ側の眉尻、目尻周辺、眼の奥、口角周辺、頬、耳の奥など。
口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスによる感染症である。 ヘルペスウイルスは三叉神経節に潜伏し、じっとしているが、ストレスなどをきっかけに活性化し増殖する。 増殖したウイルスは三叉神経節を出て、三叉神経に沿って移動し、目や口などに水疱を発生させる。 この水疱の中には増殖したウイルスがいるので、接触すると感染する。 薬が有効なのは、この増殖期(水疱を発生させているとき)であり、口唇ヘルペスは治まるが、ヘルペスウイルス が消えたわけではない。 再び、三叉神経節に潜伏し、増殖の機会をうかがっている。 潜伏時に有効な薬がないため、一度感染すると生涯除去されず、三叉神経節に存在する。
顔面の知覚は、三叉神経が司っている。 三叉神経痛は神経痛の1つで、その神経が支配する領域に沿って発作的に激痛が生じる。 三叉神経痛は血管が三叉神経を圧迫することで起こると考えられているが、感染症などに伴うこともある。 また、脳腫瘍が原因のこともあり注意が必要だが、原因は不明のことも多い。
どちらも三叉神経が関与するが、 三叉神経の走行や機能をできるだけ詳しく捉え、施術を考えていく。 側頭骨、蝶形骨、上部頸椎、上部胸椎、頭部の筋肉、顔面の筋肉、頚部の筋肉、背部の筋肉、三叉神経、 迷走神経、舌咽神経、自律神経、頚神経、外頚動・静脈、筋膜を主にターゲットとし、全体の調和をはかる。
施術の次の日は、まだ多少の顔面痛があったが、2日目には、ほぼ気にならなくなったとのこと。 その後は、とくに問題なく過ごせているとのことでした。