腕や手指の神経(腕神経叢)は首から出て
鎖骨の下を通り、わきの下、腕、手へと分布しています。
また、血管(鎖骨下動・静脈)は心臓から鎖骨の下を通り
わきの下、腕、手へと分布しています。

胸郭は肋骨でできた籠のようなもので、上のほうを胸郭出口といいます。

このあたりは鎖骨もあり、神経や血管が圧迫・絞扼されやすい場所です。
圧迫・絞扼される場所がいくつかあり、それぞれに名称があります。
① 前斜角筋症候群
② 肋鎖症候群
③ 小胸筋症候群
などです。

①前斜角筋症候群
前斜角筋症候群の症状は、腕や手指に感覚の異常がみられます。
しびれ感やチクチクするような感じ、ひりひりするような感じなどです。
手の感覚が鈍くなったり、動きが悪くなったり
または筋力の低下を感じます。
痛みのある場合は、腕や手の深部に鈍痛のような
はっきりしない痛みを感じます。
このような症状は、朝に起こることが多く
目が覚めてしまうこともあります。
長時間、座って作業をしている時にも起こりやすいです。

青○が圧迫・絞扼されやすい部位
前斜角筋という筋肉は、首から第一肋骨に付いていて
この筋肉の後ろを鎖骨下動脈と腕神経叢が通っています。
ここで動脈や神経が圧迫される場合を前斜角筋症候群といいます。
②肋鎖症候群
第1肋骨と鎖骨の間で
神経や血管が圧縮される場合を肋鎖症候群といいます。
不良姿勢や疲労、不安感や抑鬱などが関係因子とされ
肩が下がると第1肋骨と鎖骨に神経や血管が圧迫されやすいので
なで肩の方は起こりやすいとみられます。
症状は前斜角筋症候群と同じであり
とくに、朝の腕や手のしびれ、手に力が入らないなどです。

青○が圧迫・絞扼されやすい部位
③小胸筋症候群
小胸筋という肩の前あたりから、胸に付いている筋肉と
胸郭の間で神経や血管を圧迫する場合をいいます。
症状は他の2つと同じです。
姿勢による影響が大きいです。

青○が圧迫・絞扼されやすい部位
○胸郭出口症候群の方へ
腕や手のしびれや感覚の異常は
胸郭出口症候群以外のものでも
多く現れる症状です。
そして、胸郭出口症候群が最初の原因ではなく
他の要因がいくつも重なって起こってしまったとも考えられます。
例えば、姿勢が悪く、身体全体のバランスが崩れていたり
筋肉の張りが強い、または筋力が弱いといったことは
どこかに、ひずみとなって影響を及ぼすため
斜角筋や小胸筋がそれに該当してしまえば
胸郭出口症候群を引き起こす可能性があるというわけです。
どこが、どの指が異常を感じるのか
痛みはどのあたりに現れるのか
それはいつ起こりやすいかなどを細かく伺い、検査により
絞扼・圧迫されている可能性がある場所に
1つずつアプローチしていきます。
1つずつ、原因となりうるものを潰していき
最終的には、バランスよく身体が使えるよう
施術していきます。
痛みやしびれで睡眠を妨げられるのは、疲労にもつながり
さらに血流が悪くなりますので
似たような症状、または胸郭出口症候群と診断された場合
ご相談してください。