回外筋
起始 上腕骨外側上顆 尺骨後上面 肘関節包後面 橈骨輪状靭帯
停止 橈骨外側 前面
神経 橈骨神経 C5~7
作用 前腕の回外
血管 橈側反回動脈
筋連結 総指伸筋 短橈側手根伸筋 長母指外転筋
□筋力テスト
【回外】
主動回外筋
①上腕二頭筋 筋皮神経 C5 C6
②回外筋 橈骨神経 C6
補助筋
①腕橈骨筋
検者は患者の前に立ち、患者の肘関節が患者の体側に固定されるように検者の手で支える。
この支持は、肩関節が内転、外旋して前腕の回外を代償するのを防ぐ。
検者の抵抗を加える手の母指球を、患者の橈骨遠位の背側面におき、指を内側方向に回し尺骨の周りを包み込む。
患者に回内位から回外させ、前腕が回外するにしたがって、次第に橈骨にかける抵抗力を強くし、患者の最大抵抗力を調べる。
□TP
関連痛パターン:外側上顆、前腕および母指と示指の間
TP:上腕二頭筋腱の停止最遠部の橈側。
スポーツ活動、特に回外を伴う動きで損傷する。
肘関節を伸展した状態で回外を繰り返すと、トリガーポイントが活動性になることがある。
テニス肘の時に、この筋も異常をきたしていることがある。
橈骨神経の枝が回外筋内を通過する際に、回外筋の緊張によって絞扼されることがある。
伸筋の力が低下していないか調べていみる必要がある。
回外筋は検査を省いても良い。
□疾患
後骨間神経絞扼
肘の外傷後あるいは回外筋内部に線維化が生じた後に、橈骨神経の枝である後骨間神経が回外筋の浅深2層の間を通過するところで絞扼される。
後骨間神経のみの損傷では知覚消失はないが、総指伸筋を使って指を伸展することはできない。
遠位指節間関節の伸展は、尺骨神経支配域の骨間筋の作用により可能である。
橈骨神経そのものが損傷を受けると、明らかな手首の下垂がみられる。
円回内筋
起始 上腕骨頭:内側上顆 内側筋間中隔
尺骨頭:鉤状突起内側
停止 2頭合して橈骨中央外側 後側部
神経 正中神経 C6~7
作用 肘関節の屈曲 前腕の回内
血管 尺骨動脈 橈骨動脈
□軟部組織の触診
円回内筋・橈側手根屈筋・長掌筋・尺側手根屈筋の4筋は内側上顆の共同腱に起始部をもち、それから前腕に向かってそれぞれの走行に分かれる。
これらの筋の走行の配列と位置は次のように記憶すると良い。
一方の腕の内側上顆の上にもう一方の手の母指球部がくるようにし、前腕上に広げた指の位置で、母指は円回内筋を、示指は橈側手根屈筋を、中指は長掌筋を、環指は尺側手根屈筋を示す。
手関節の屈筋群は、まず一単位として、次に個別に触診すべきである。
検者は内側上顆や内側顆上稜のこれらの起始部から、前腕を下がり手関節の方向へ触診を進め、疼痛がないか調べる。
障害を受けていると、テニス、ゴルフ、ねじ回しなどの手関節屈曲・前腕回内を必要とする動作に際して、筋腹や起始部に圧痛が生じやすい。
この屈筋・回内筋群は上腕二頭筋が筋力低下または消失をきたしている時、上腕二頭筋の代わりとして、共通の起始部からそのまま外科的に上腕骨の中枢側へ腱移行することも行われる。
円回内筋は他の筋に覆われ、はっきり触診することが出来ない。
□筋力テスト
【回内】
主動回内筋
①円回内筋 正中神経 C6
②方形回内筋 正中神経前骨間枝 C8 T1
補助筋
①橈側手根屈筋
患者の前に立ち、純粋な前腕の回内を知るために、肘関節のすぐ近位部を固定して肩関節の外転、内旋による代償を防ぐ。
検者の抵抗を加える手を患者の橈骨遠位端の掌側面に母指球がくるようにあてる。
そして検者の指で尺骨後縁を包み込む。
これは、検者の抵抗を加える手が、患者の手関節の背側から掌側に変わるというだけの事である。
患者に、回外位から前腕を回内させる。
回内につれて、橈骨への抵抗力も増加させ、患者の最大抵抗力を測定する。
□TP
関連痛パターン:手関節の橈側および前腕の前面
TP:内側上顆と上腕二頭筋腱を結ぶ線の中点から2横指下
スポーツ活動で損傷する。
手首や肘の骨折は筋筋膜トリガーポイントを活動性にする可能性がある。
□疾患
前骨間神経絞扼
正中神経の深枝、すなわち前骨間神経が骨折後に肘付近で絞扼されることがある。
その結果、長母指屈筋あるいは示指と中指にいく深指屈筋の筋力が弱まり、末節を屈曲できなくなる。
感覚の異常はない。涙のしずくサイン陽性となる。
方形回内筋
起始 尺骨下部前面
停止 橈骨下端前面
神経 正中神経 C7~T1
作用 前腕の回内
血管 前骨間動脈