起始 浅部:腸骨稜 上後腸骨棘 仙骨背面 尾骨
深部:腸骨翼の殿筋面 仙結節靭帯
停止 上部:大腿筋膜の外側部で腸脛靭帯に移行
下部:大腿骨の殿筋粗面
支配神経 下殿神経
髄節 L5~S2
栄養血管 下殿動脈 上殿動脈
作用 股関節伸展と外旋
上部筋束:外転 下部筋束:内転
速筋:遅筋(%) 47.6:52.4
筋連結 中殿筋 大腿筋膜張筋 梨状筋 外側広筋 中間広筋 大腿方形筋
小内転筋 大腿二頭筋(短頭)
人体最大の単一筋。
人類が直立二足歩行をするようになって発達。
四足動物ではあまり発達していない。
階段の昇り、ジャンプなどで働く。
上部線維は腸脛靭帯に移行するため、股関節伸展と外転に作用し、その際、内側に移動する。
下部繊維は大腿骨に付着しているため、股関節伸展と内転に作用し、その際、上方に移動する。
腸脛靭帯は脛骨Gardy結節に付着しているので、膝関節を外側から安定させる働きもある。
トリガーポイント
大殿筋TPの関連痛は、ほぼ臀部に留まる。
大腿に少し出るくらい。
大殿筋の関連痛は、前傾姿勢で上り坂を昇る。
クロールや平泳ぎで悪化することがある。
仰臥位で夜間痛がある場合もある。
歩行時の筋活動
下部繊維は遊脚終期(terminal swing)~荷重反応期(loading response)に活動。
上部線維は遊脚終期(TSw)~立脚中期(midstance)まで活動。
着床初期(initial contact)では、股関節の屈曲を防ぐ。
荷重反応期(LR)骨盤を水平に安定を保つ。
遊脚終期(TSw)では減速で股関節が屈曲するため、遠心性収縮している。
立脚中期(MSt)までは股関節を伸展するため、求心性収縮している。
着床初期(IC)は踵が地面に着地するため、衝撃がかかる。
この時、大殿筋の収縮が弱いと背中が曲がり、姿勢が保てない。
その結果、歩幅は減少し、歩行速度が低下する。
大殿筋歩行
大殿筋の筋力低下、または麻痺のため、股関節伸展ができず
頭部、体幹を後ろへ反らし、骨盤を前に出し
重心を骨盤の後方にとることで、股関節の屈曲を防ぐ。
このような歩行を大殿筋歩行という。
筋力テスト
腹臥位。膝関節屈曲位(ハムストリングスの影響を除く)
頭方手はハムへ。足方手は足首を持つ。
始めに少し股関節伸展させ、その位置がキープ出来たら
テストを開始する。
痛みが出たら、即中止。
姿勢維持
抗重力筋のため、弱化で体幹が前方に傾いてしまう。
股関節が屈曲位となり、腰椎前弯↑、骨盤前傾↑、膝関節屈曲位。
腰から折れるように曲がり、臀部が突き出た姿勢となる。
股関節屈曲制限は、腸腰筋の拮抗筋である大殿筋となるので
弱化はこのうような姿勢となる。
バック・ファンクショナル・ライン(BFL)
広背筋・胸腰筋膜・反対側の大殿筋・外側広筋
腕から反対側の大腿までの連結で、回旋系の運動に機能する。
ラテラル・ライン(LL)
乳様突起・肋間筋・腹斜筋・大殿筋・大腿筋膜張筋・腓骨筋
体をまっすぐに保つのは、サイドの安定性があるためで姿勢保持に関与。
運動では、側屈など外側の動きに参加し、回旋制御に関与。
効率的な運動ができるように機能する。